2026/03/11

国産厘珠(りんだま)とは|ベビーパールとの違いと伊勢志摩・英虞湾で受け継がれる小粒アコヤ真珠

Japanese Rindama Akoya Pearl

厘珠(りんだま)とは何か。伊勢志摩・英虞湾で生まれる小粒アコヤ真珠の意味とベビーパールとの違い、日本の養殖技術の背景を解説します。

本記事の宝石・ジュエリーの写真はすべて、1級ジュエリーコーディネーター嶋直樹が実物を撮影したものです。宝石の表情は光や角度で変化するため、できるだけ実物の印象に近い形でお伝えしています。

はじめに|厘珠とは

 

小粒の真珠を、「ベビーパールです」と説明されることが多いと思います。

確かにサイズとしては間違いではありません。

しかし、日本の真珠の現場では昔から別の呼び方があります。

それが

厘珠(りんだま)

という言葉です。

この言葉は単に「小さい真珠」という意味ではありません。

そこには、日本の真珠養殖の歴史と、現場で受け継がれてきた技術の背景があります。

今回は、私たちがジュエリーにこだわって使用している国産厘珠の意味と魅力についてお話しします。

 

国産あこや真珠 厘珠ネックレス
写真:国産あこや真珠 厘珠ネックレス

1)厘珠とは|小粒アコヤ真珠を指す現場の呼び名

国産あこや真珠 厘珠ルース
写真:国産あこや真珠 厘珠ルース

 

厘珠とは、3〜4mm前後の小粒アコヤ真珠を指す現場由来の呼び名です。

この言葉の由来は、昔の尺貫法にあります。

3〜4mmの真珠を作るためには、0.8〜0.9分(約8〜9厘)の核が使われていました。

そのため、そのサイズの核で作られた真珠を厘珠(りんだま)と呼ぶようになったと言われています。

この呼び方は養殖業者だけでなく、加工や流通に携わる人たちの間でも使われるようになり、現場の言葉として受け継がれてきました。

一般には小粒の真珠を広くベビーパールと呼ぶこともありますが、現場の感覚では、厘珠はもう少し限定的な意味を持つ言葉です。

 

J.C.BARオリジナルパールジュエリー Life with Modern
写真:J.C.BARオリジナルパールジュエリー Life with Modern

2)国産厘珠の産地|伊勢志摩、とくに英虞湾

 

国産厘珠の主な産地は
三重県・伊勢志摩

その中でも特に知られているのが
英虞湾(あごわん)です。

現在では長崎県でも一部の養殖業者が生産していますが、主軸として厘珠の養殖が行われてきた産地としては、やはり英虞湾が中心と言われています。

長崎県や愛媛県などでは、7〜8mmを中心とした真珠養殖の中で、挿核しにくい小さい貝に夏場に核を入れる形で小粒真珠が作られることもあります。

ここ数年はベビーパール人気の影響もあり、小粒真珠を作る養殖業者が増えてきたという話も聞きます。

 

英虞湾の真珠養殖場
※写真:英虞湾の真珠養殖場

3)なぜ厘珠は希少なのか

 

厘珠は小さい真珠ですが、養殖としては決して簡単ではありません。

3〜4mmの厘珠は、
一つの貝に4〜5個の核を入れる多核挿核で作られることが多い真珠です。

そのため

  • 一日に作業できる貝の数が少ない

  • 挿核作業が繊細で技術が必要

という特徴があります。

さらに、真珠は昔から匁あたりいくらという考え方で取引されてきました。

小粒の真珠は重量が少ないため、経済的に不利になりやすく、養殖としては敬遠されてきた面もあります。

また、多核挿核の技術体系は、一般的な7〜8mmの真珠を作る単核挿核とはかなり異なります。

つまり

大きな真珠を作れる技術があっても、厘珠が作れるとは限らない

という世界でもあります。

小さいから簡単、というわけではなく、
小さいからこそ難しい真珠なのです。

 

あこや真珠厘珠のネックレス
※写真:あこや真珠厘珠のネックレス

4)海外産についての考え方

 

海外でも小粒真珠は多く生産されています。

中国産や淡水真珠の品質も年々向上しており、驚くほど美しいものもあります。

ベトナム産アコヤでも、小さな核を使った例があったと聞きます。

原則だけを見れば、そうした真珠も厘珠に近い考え方ができるのかもしれません。

しかし現場の感覚としては、やはり

日本の養殖文化の中で育まれてきた厘珠とは少し分けて考えたい

という思いがあります。

だからこそ私は、国産厘珠を紹介する時、その言葉が生まれた現場への敬意も一緒にお伝えしたいと思っています。 

 

5)日本のお米を誇れるように

 

私はよく、真珠をお米に例えて説明します。

お米も一見すると違いが分かりにくいものです。

しかし実際には

  • 土壌

  • 気候

  • 作り手の技術

によって味や品質が変わります。

そしてどの産地もより良いものを作ろうと努力するため、その差は少しずつ小さくなっていきます。

真珠も同じです。

海外産の真珠の品質は確実に向上しています。

それでも私は、日本のアコヤ真珠が持つ品質は世界に誇れるものだと思っています。

 

まとめ|真珠選びはお店選び

 

厘珠は、ただ小さい真珠というだけではありません。

どんな核を使い、どのように挿核し、どこの海で、どんな人が育ててきたのか。
その背景まで含めて見た時に、同じように見える小粒真珠にも違いが生まれます。

真珠はサイズや価格だけでは、本当の価値を判断しにくい宝石です。

同じ大きさでも、
テリ、巻き、色、揃いによって印象は大きく変わります。
さらに厘珠のような小粒真珠は、その背景や作られ方まで知ることで、見え方が変わることもあります。

だからこそ私たちは、
真珠選びはお店選び
だと考えています。

見た目の大きさだけではなく、その真珠がどのような背景を持つのかまで丁寧にご案内できること。
それが、長く愛せる一点に出会うために大切だと思っています。

 

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嶋直樹
著者:嶋直樹(J.C.BAR)

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更新日:2026/3/12

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取り扱い・ケア

真珠は有機質の宝石であり、汗や化粧品、香水などの影響を受けやすい性質があります。使用後は柔らかい布で軽く拭き、湿気の少ない場所で保管してください。硬い宝石と一緒に保管すると傷が付くことがあるため、専用ケースやポーチに入れて保管することをおすすめします。

 

 

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